「仕方ない。罰ゲームそっちからして良いよ」


「はぁ?」


「だって私の方が2回で多かったし」


「いや、そうじゃなくて…マジでやんのかよ」


「当たり前だよ」


渡瀬は足を止めて顔を上げた。


「罰なんだから痛くして良いよ」


そう言いながらデコピンを待つ渡瀬はキュッと目をつぶり唇を結んでいる。


完全にびびっている渡瀬の顔。


「…んじゃ」


俺はそんな渡瀬のおでこに遠慮なくデコピンをした。


「ったぁ~…」


弾ける音と共に渡瀬は悶えるように額に手を当てた。


よほど痛かったのか渡瀬は少し涙目になっている。


「やり過ぎた。わり」


「うん…痛かったよ」


「あ?だって渡瀬がやれって」


「そうだけど…てかまた渡瀬って…」


「…………」