「…ん…王子く…ん」




「王子くん…好き」




キスの合間に何度も何度も俺を呼ぶ渡瀬。




呼ばれるたびに愛しさが込み上げる。




「…んな風に呼ばれると抑えらんねぇんだけど」




「だって…」




困った顔をする渡瀬に俺は小さく笑う。




「嘘…抑えるからもっと呼んで」



「…ん…」



絡ませる指に指輪が光る。




いつか夕焼けの下で俺が見つけた小さな夢が


いま現実になろうとしていた。


俺と渡瀬と、その真ん中には小さな命。




「…王子く…ん」



やっと見つけた。



やっと手に入れた。




「王子くん…大好き」




もっと呼んで



俺から離れないで



ずっと俺の傍にいて――…




そのためなら、俺はどんな事だってしてやれる。