俺はお前だけの王子さま


―――――…


「大丈夫か?」


「うぅ…」


吐き終えた渡瀬は泣いていた。


俺は水で濡らしたタオルで渡瀬の顔を拭いてやると、またベッドまで運んだ。


「とりあえず口ゆすげよ」


俺は渡瀬にコップと水を渡した。


「……………」


渡瀬は口をゆすぐと、そのままベッドに横たわり泣いていた。


「泣くほど気分わりぃか?」


「違う…王子くんに見られた…」


俺は小さく震えて泣く渡瀬の頭を優しく撫でた。


そんなの気にすることじゃねえのに。


「お前…マジで体大丈夫かよ」


渡瀬の背中をさすってやると、前よりも少し痩せている気がした。


なんだ…?

マジで病気じゃねえの?


渡瀬が重大な病気かもしれないという考えが頭をよぎり


俺は急に不安な気持ちになった


もし渡瀬になにかあったら―…



「…医者は行ったのかよ?」


「…………」


「なんが異常あんじゃねぇの?」


「……………」


「…おい」


「ひっく…ぐす…」


問い詰める俺に渡瀬は急に嗚咽をあげて泣き出した。


「…ごめ…」


「……………」


「ごめ…なさい…」


渡瀬はただただ俺に謝った。


そんな渡瀬に…

俺は心臓に毛が生えたように胸がざわざわと苦しくなった。


嫌な予感に胸がドキドキと音を立てる。


しかし

渡瀬はその予感とは違う意味で驚く事を言った。




「あのね…赤ちゃんが出来たの…」