俺はお前だけの王子さま

渡瀬の家についた。


渡瀬の家は3階建ての小さな
ボロアパートだった。


外壁には無数のヒビの補修跡。


それらが汚く目立っている。



とりあえず悲惨だな…


渡瀬以外にも住民はいるようだが…こんなトコに住む理由が分からねぇ。



【103号室 渡瀬】


渡瀬は玄関を開けながら声をあげた。


「勇気~ただいま!お客様だよ~」


「お邪魔しまーす」


渡瀬、ヒロキに続き俺も玄関に入る。


ふいに…

低めに造られた入口に俺の頭が擦りそうになる。


おい…

玄関低すぎだろ…


俺は頭上をにらみつけた。


「あ!いらっしゃいませ!」


中から元気な声がして
俺が中を見ると

そこは昭和の世界だった。


廊下なんかねぇ。


あるのはリビングと
むき出しの小さな台所


そのままつながる奥の
小さな部屋にはちゃぶ台がある。


そのちゃぶ台で目を丸くしてる少年。


「うわっ!姉貴の知り合い
超かっこいい人達じゃん!」


顔が渡瀬に似ていた。