俺はお前だけの王子さま

―――5日後







いよいよ帰国日。



俺は小さな部屋に別れを告げると空港に向かう前にオフィスに寄った。


もう仕事が始まっている時間帯


俺の簡単な挨拶の為にみんなが手を止めてくれた。


『日本に戻ってもガンバれよ』


ケビンは豪快に笑いながら俺の肩を叩いて言う。


『空港まで見送りたいとこだが生憎この後また商談だ。』


ケビンとはこの5年間ずっと一緒にパートナーを組んでやってきた。


俺の在学中にはフォローも随分してもらったし、

当初の予想よりも仕事が進み、俺の帰国が早くなったのもケビンの功績が大きい。


帰国しても仕事上、付き合いはこれからもあるはずだけど。


『サンキュー。ケビンも頑張れよ。』


俺はケビンと一緒に仕事が出来て良かった。


遠距離で渡瀬には淋しい思いもさせたが、NYに来て良かった。


俺はひとつの達成感を胸に
その足で空港に向かった。