俺はお前だけの王子さま

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ほろ酔い気分の中、賑やかなオフィスを見渡した。


たった十数人のメンバーでよくもこれだけ騒げるもんだ。


日本に帰れる期待で忘れがちだったけど

この陽気な仲間とは逆に離れるんだよな。


「…………」


窓辺に腰をかけて外を見ると、少し切ない三日月が浮かんでいた。









パーティーが終わり部屋に戻ると俺はシャワーを浴びた。


ケビンと今後の日程を話し、
5日後に俺は帰国することになった。


5日後――…

日本は週末だ。


シャワーを終え濡れた髪を拭きながら、俺は引出しをあけた。


引出しの中には水色の小さな箱


商談が成立した翌日、俺はコレをこっそり買いに行った。


「ジェニーのやつ…どこから見てたんだ」


俺は指輪の箱に軽く触れながら

そういえば今朝、渡瀬からメールが来ていたことを思い出した。



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TO.渡瀬


とりあえずこの週末
日本に行けるから

飯でも行くか?


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帰国のことはまだ言わない。


直接伝えて、渡瀬の喜ぶ顔が見たいから。


「アイツ…どんな顔するかな」


想像すると自然に口元がゆるんだ。


俺は水色の箱を大切にしまうと眠りについた。