卒業まであと１週間を切った。


卒業式を終えたら、俺はその足で日本を経つ予定だ。


俺が渡米する事はヒロキも夏木ももう知っている。


そんな中、放課後久しぶりに
４人で遊ぶことになった。


行き先はいつかの海。


冬の海なんて淋しい上に暇なだけだけど、


ここは俺たちの思い出の場所だとヒロキが言うから。


「教室とかうざいと思ってたけど最近は教室行ってもガラガラで、なんか淋しいよな～」


人気のない砂浜で制服の裾をまくり山を作っているヒロキが言った。


「みんな試験でいないもんね」


夏木もそんなヒロキの隣に腰をおろす。


「は～もう卒業かぁ…」


ただでさえ淋しい海に、ヒロキの言葉がより一層の悲壮感を漂わせる。


「おい、辛気くせぇぞ…」


俺はたまらず突っ込んだ。


「お前も今日ぐらいは、ちょっとしんみりしようぜ」


ヒロキが笑いながら俺に砂を投げる。


「しんみりとかお前のキャラかよ」


俺がヒロキに砂を蹴り返すと、ヒロキはそれを避けるように大袈裟に転がった。