俺はお前だけの王子さま

冬になると、俺はしばしば学校を休んで日本を離れた。


向こうでの準備がいよいよ本格化して、忙しい日々が始まった。


別に後戻りするつもりもないけど

準備が進むごとにもう本当にやめることは出来ないんだと実感する。


「いよいよだな。」


現地のホテルで合流した親父が嬉しそうに言った。


「今日はとりあえず俺に付き合って飲めよ」


未成年の俺にビールを勧める親父。


まぁ、アルコールは初めてじゃないけど…


乾杯すると親父は嬉しそうに、グラスに口をつけた。


アルコールが進み、親父の軽快なトークも弾む。


そんな親父を観察しながら俺は思う。


一見厳しい親父だけど俺に進路を用意する時点で甘いよな。