俺はお前だけの王子さま

どれぐらいの間こうしていたのか――…






少し落ち着いた渡瀬はゆっくり俺から離れた。


「ごめんね…」


少し照れながら笑う渡瀬。


そんな渡瀬の表情をみて俺は胸が苦しくなる。


「謝るのは…俺の方」


「え?」


「俺…渡瀬に言う事がある」


俺の言葉に渡瀬が俺を見上げる。


その瞳は最近の俺から何かを予感しているような瞳だった。


「うん…なに?」


「………」




その時――…



カチャリと静かにドアが開いた。


俺と渡瀬がドアを見ると

いつかの工場で会った渡瀬の母がでてきた。