俺はお前だけの王子さま

「王子くん…痛い」


渡瀬の声で

俺は自分がいま下駄箱まで来ていたことに気が付いた。


「腕…痛いよ」

「………」


俺は渡瀬の腕を離した。


渡瀬は掴まれた腕を擦っている。


「いきなり…びっくりした」


渡瀬は俺を少し睨む。


「………」


俺は悪くねぇし…

むしろ感謝されるぐらいだ

あのままヒロキの横にいたら
お前どうなってたと思う?



俺は渡瀬を少しにらみ返した。


「な…なによ?」



まぁ…

渡瀬なんかがどうなろうが俺は構わなかったんだけど。



俺は自分の鞄の中から乱暴に
箱を取り出した。