俺はお前だけの王子さま

渡瀬は美味しそうにほお張る。


「王子くんのおかげで課題なんとかなりそうだよ。」


頬を膨らまして、もしゃもしゃ食べる渡瀬


リスかハムスターみたいだな…


「…そりゃ良かったな」


「うん、ありがとう。サンドイッチもすごく美味しいよ。」


渡瀬は嬉しそうににっこり笑った。


「………」


そんな渡瀬から俺は視線を反らす。


渡瀬といると調子が狂う。


別にただのコンビニの安いサンドイッチだし…


なのに渡瀬のありがとうは毎回どれも本気っぽいから…


だから俺はいちいち対応に困る


社交辞令なら受け流せるのに


俺はそのまま無言で食べ終わると透明の包み紙をくしゃくしゃにした。




渡瀬もサンドイッチを食べ終わったらしい。


「課題はとりあえず終わりにして、これから何しよっか?」


渡瀬は包み紙を小さく折り畳みながら俺に言った。


「………」


癖なのかなんなのか…


そのみみっちぃ行為が渡瀬らしくて俺は思わず口元がゆるんだ。


どうせ捨てるのにたたむとか
意味わかんねぇよ