飛行機が離陸して しばらくした頃。 雲を見ていた私の後ろから 王子くんの声がした。 「…渡瀬ってさ」 「うん?」 「…………」 少し間があいて 私は後ろを振り返った。 王子くんを見ると、 無表情で感情がよめない。 なんだろう… 心拍数が上がってくる。 王子くんは私から目を反らすと 周りには聞こえないくらいの でもはっきりした声で言った。 「渡瀬は…ヒロキと付き合うの 嫌じゃねぇの?」