そんな時ふと王子くんを見ると…


フェンスに気だるく寄りかかりながら、伏せがちな目で私を見ていた。


ドキッ…


長い睫毛が色っぽい。


王子くんがカッコいいなんて、学校中の生徒が知ってることなのに…


水梨くんがカッコいいのとは、私の中で何かが違う。



その顔に、表情に戸惑う。




うわ…なんか…どうしよう


「……………」


私は恥ずかしさをごまかすように、王子くんにジェスチャーを送った。


《お母さんと話合ったの。嬉しい~!》


熱くなる頬

ばれてないよね?



すると王子くんは…


そんなパタパタ動く私を馬鹿にするように



ふ…

優しい目で笑った。


少し開いた口元から、わずかに歯が覗く。



ドキ…!!


思わず私は体が固まった。


だって…王子くんのあんな表情


知らない…




驚いた私をみて

王子くんは一瞬
気まずそうにしてそのまままた目を反らした。