甘い疑惑の王子様



ふっと彼の笑った声が聞こえると
彼は運転席の男の人に言葉を発した。


「井上、先に家行って」

「はい…しかし会長が「行って」

「…かしこまりました」


私はその二人のやり取りを
不思議に思いながらも聞いていた。


いっ家!!?


『…あの!!』

咄嗟に私が声を張り上げると
彼は悟ったのか優しく笑った。


「先に泥落とさないとね。それじゃいくら綺麗な服でも君は着れないでしょ?」

『そんなっ…いいです!』


私の言葉が耳に入っているのかいないのか彼は顔を窓の外に向けた。