甘い疑惑の王子様



―――ザー……


気付けばボロボロだった。


「いい加減理解したら?あなた目障りなの昔から。あんたをあの社宅から追い出すなんてたいした事じゃないのよ」


―――!!?


そっそれだけは……


『や…やめてよ!』


体の骨が軋むように痛い。


それでも
東城さんのあり得ない言葉に対し
精一杯声を張り上げた。



―――パシッ!


『――っ!……』


雨の音がかき消してくれるはずの音が
私に衝撃をもたらすと共に勢いよくハッキリと耳を通り抜けた。