甘い疑惑の王子様



「おねぇちゃ~ん」

『なに?』


ベタンダで洗濯物を干していると
涼が部屋から顔を覗かせた。


「次はお母さんいつ帰って来るのかな?」

久々に涼の口から
お母さんの単語が出てきた。


そういえば
三日くらい帰ってきてない母親は
連絡の一本もよこさない。



けれど今に始まった事じゃないし
こっちから連絡はしなかった。


『ん~やっぱり寂しいよね?』


久々にお母さんの名前を出した
涼の心情は寂しいに違いない。


「僕、お姉ちゃんも信也にぃちゃんも居るから大丈夫だよ」


笑顔でそう答えた涼を見て
胸が締め付けられた。