甘い疑惑の王子様



ポロポロと涙が頬を伝うのが分かった。


17歳の私には重すぎる。

でも…それが分かって
今まで背負って来たんだ。


もう…充分。
充分でしょ……?



「真奈美…」

背中から優しい声が飛んできた。


『シ…ンちゃ…』

あまりにも安心する存在が
私の目の前に居るのを確認すると
溜まっていた涙が溢れ出した。



言葉にならない…


「大丈夫か?」

傍に来たシンちゃんは
私の隣にゆっくり腰を下ろし
私を優しく包み込んだ。


幸せとはかけ離れた
現実の世界がひび割れた。


こんなにも温かい存在が
傍にあるのに……


それでも不幸だと感じる。