甘い疑惑の王子様



『何してんの?涼も心配してるから早く…』

「うっさいっつってんの!母親面すんなよっ!!」


………!?


―――プッ…プープー


さっきまで聞こえていた
梨子の声が切断された音に変わった。



“母親面すんなよ”


耳に残ったその言葉だけが木霊する。



どうして……


どうして分かってくれないんだろう。


一生懸命だった……
お母さんが育児放棄をしてから
私はずっと私なりに……



それがどうして
こうなってしまったのだろう…



力無く子機を落とすと
私は膝を抱えた。


あまりにも痛く響いたその言葉は
私をボロボロに崩して……