甘い疑惑の王子様




『シンちゃんは王子様だよ』


「え…?」



由利ちゃんは目を見開いて
驚いた様子だった。



昔から変わらない

私の王子様だよ。



『シンちゃんは王子様だけど…私は信じてないの』



王子様も……

何もかも……



夢はとっくに捨てたから。



「じゃあ…あの謎の彼は…?」


言葉足らずの由利ちゃん。


『彼は……』



そんな由利ちゃんの言葉も
鈍感な私だけれど


今は分かる。



―――彼の話だから。



由利ちゃんは彼を王子様と呼ぶけれど
私にとって彼は一人の男性なんだよ。



『王子様じゃないと思う。だから私…彼に惹かれるものがあるの』



とっくの昔に夢は捨てた。


王子様は存在しないから
嘘つきのおとぎ話は嫌いになった。