甘い疑惑の王子様



返事のない彼に
不思議に思いゆっくりと顔を向ける。


彼の顔からは笑顔が消え
私をジッと見つめていた。


『……っ…』

それを見た私は
また顔が熱くなる。

胸の高鳴りが
自分でも分かるくらいうるさい。


「真奈美に会いたかったんだよ。真奈美は違う?」


『えっ…!!?ちっ…』


再び言った彼の言葉を聞いて
反射的に出る言葉を飲み込んだ。


「ふふ…君は濡れるのが好きなの?」

『…たまたまだ…ょ』


私の思いが分かってるのか
彼は私の髪の毛を触ってまた笑った。


私のぎこちない、まだなれない話方も
彼は気にしていないみたい。


「風邪ひくよ?」

『大丈夫!私は元気が取り柄なんで』


そんな取り柄あったっけ?


私が拳を作りアピールすると
彼は思いきり顔を崩して笑った。