甘い疑惑の王子様



『ハァハァ……どっ…して』

肩で息をしながらも
溢れだした言葉を口にした。


「まず落ち着きなよ」

笑顔で私の傍に来る彼は
傘の中に私を入れた。


一生懸命息を整えて
私は彼と向き合った。



『…どうして居るんですか?』

「真奈美に会いに来たんだよ」

『なっ……』


変わらずの笑顔で
サラリと恥ずかしい事を言われた。


カーっと顔が熱を浴びる。


そんな……まさか。


私は咄嗟に顔を反らし
からかわないでと言い放った。



ずっと会いたかった……

今日はずっと貴方の事ばかり
考えていた……



それなのに
すんなり現れてそんな顔をして

そんな事を言うなんて
ずるいよ……