「なあ、2月14日はさ」

「バレンタインだな」

「違う!にぼしの日だよ!」

そう叫びながら彼は、
煮干を取り出した。

「今日の昼ごはん、
 これだから!」

言いながら、
もぐもぐと食べ始める。

「主食かよ」

「ぶっちゃけこれしか持って来てない」

「かわいそうな奴だな。色んな意味で」

しかし彼がこうなってしまった理由は、
俺にも痛いほどに理解できる。


彼は諦めているようで、
まだどこかで期待をしているんだ。