「やっぱり気になる!」

それから、授業中も何故か…妙な視線を感じていた。

それに…。

「先生」

僕の後ろの席の生徒達が、手を上げ、

「気分が悪いので…保険室に」

次々に教室を出ていくのだ。

それだけではない。

僕は休み時間、トイレに向かう為に、廊下を歩いていると、数人の女生徒がいきなり、目眩を感じ、倒れ出したのだ。

いくら鈍感な僕でも、理解した。

変な噂が立つ前に、僕はまったく使われていない教室を探し、そこに駆け込むことにした。

「誰だ!」

誰もいない教室に入ると、僕は身構え、周囲を見回した。

「いるのは、わかっているんだ!」

再び魔神の襲撃かもしれない。

だとすれば、ステイタスがしたように…結界を張り、あの世界と同じ空間にしているかもしれなかった。

「フン!」

気合いをいれ、炎を召喚しょうとしたら、指先から煙が出た。

「ウフフフ…」

それを見たからか、どこからか笑い声がした。

「!?」

僕が慌てて、振り向くと…半透明の女の人が立っていた。

「魔神か!」

炎が出ないと悟った僕は、仕方なく椅子を持ち上げた。

「ウフフフ…」

女の人は、笑みを止めない。

半透明の体の向こうに、黒板が見えた。

(人間ではない!だけど、魔神なのか?)

まったくプレッシャーを感じない女の人を、僕は訝しげに見た。

(それに…彼女を知っている?)

どこで見たのか…すぐには、思い出せなかった。

女の人は、ゆっくりと右手を上げると、僕を指差した。

その指先の鋭さに、僕ははっとした。

「夢の少女!」

今朝の夢を思いだし、目を見開く僕に、少女は言った。

「ブルーワールドに来たら、夕刻の谷へ来て…」

「夕刻の谷?」

「あなたを助けてあげる。バンパイアの魔の手から」

「バンパイア!?」

「必ず来て」

少女はそう言うと、消えた。

まるで…幽霊のように。

1人…教室で、椅子を振り上げていた僕は、ゆっくりと下ろすと、それに座った。

「うーん」

悩んでも、わかるはずがなかった。