「何!?」

側面から続いて、ジャンプしょうとした美形の男は、慌てて下に飛び降りた。

僕が持つライフルから放たれた光は、ビルの半分を消滅させた。

「馬鹿な!」

飛びかかっていた女は、絶句しながら、下へ落ちていった。

「く、くそ!」

僕はバックで飛びながら、奥歯を噛み締めた。

女に当てるつもりが、ビルだけを破壊してしまった。

例え化け物と思っていても、人間の姿形をした相手に向かって撃つことができなかったのだ。

バックのまま、僕はゴーストタウンと化した町の上を疾走し、外へと出た。

そのまま数キロ飛んでから、フライングアーマーを外した。

「あいつらは一体?」

草原に、後ろ向きで土を抉りながら着地した僕は、遠くなった町を睨んだ。

「もしかして…今のが、バンパイアの眷族か」

結果的に逃げる形になってしまったことは、悔やんでいたが…やつらを殺せる自信がなかった。

「人と同じ姿をした相手を…僕は」

甘いと、自分でもわかっていた。

それでも、やつらをほっておく訳にはいかないこともわかっていた。

「町の人達は、やつらに殺されたのか」

右耳についたピアスを、軽く指で触れて、アルテミアにアピールしてみた。

やはり、反応がない。

僕は諦めると、町に向かって歩き出した。

(今度は、撃つ!)

口にはできなかったが、心の中で誓った。

歩く一歩一歩が、重たい。

(どうする?)

近付いて撃つことが、できないならば…町の外から、最大出力で撃ち、町ごと焼き尽くすことはできる。

僕のバスターモードの最大出力は、女神の一撃に匹敵する。

(だけど…)

ゴーストタウンではなく、生き残っている人間がいたら、どうするのだ。

そう考えると、迂闊に撃つことはできなかった。

「やっぱり…やつらと対峙して撃つか」

僕は、覚悟を決めた。

すると、どこからか回転する二つの物体が飛んできた。

それを掴むと、トンファーへと変わった。

「チェンジ・ザ・ハート…」

決意を決めて、足を速めようとした僕の耳に、女の声が飛び込んできた。