《完》オフィスでとびきりの夜を

うちの会社に入社する直前
まで、瑞樹はホストをしてた。



恋人が作った借金を
肩代わりする為に収入が
必要で、やってたんだ。



だから当然、それは彼女も
承知だったんだけど――

でもそのせいで、彼女は
どうしても不安や寂しさを
つのらせて。



結局二人はすれ違い、
借金を返すと同時に
破局してしまった。




“理屈で理解してても
不安や寂しさはごまかせない”



(そっか……。

過去の経験からそう察しが
ついたから――)



あたしの不安を取り除き
たいと思って。



それでわざわざ、課長への
返事を保留にしたんだ。



「……………」



いたたまれない思いが
胸を満たす。