《完》オフィスでとびきりの夜を

「瑞樹クン……。

あなた、ホントに……?」



かすかに震える小さな
声で、隣の瑞樹にそっと
問いかけてみる。



周囲の目を気にしてか
はたまた別の理由か――


瑞樹は目線だけをチラッと
こちらに向けると、
うっかり聞き逃しそうな
ほどの早口でこう答えた。



「後で話そう。

……今夜、そっち行くから」



「……………」



それきりもう、瑞樹は
あたしを見ることもなく
PCのキーボードを叩き始める。



(瑞樹………)



不安が黒い雷雲のように
胸の中をおおっていくのが
ハッキリとわかった。



あたしは仕事のことも何も
考えられないまま、終業の
チャイムが鳴るのを待つ
しかなかった……。





     ☆☆☆☆☆



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