瑞樹は紙コップを取り
ながら心配そうにこっちに
顔を向けて、



「気分ってどこが?

もしかして風邪?」



「ど、どうかな……」



気遣ってくれる優しい声。



嘘なのに。



純粋で優しい瑞樹は疑いも
しないで、あたしを心配
してくれてるのに……。




紙コップに付属のフタを
かぶせると、瑞樹は
『お待たせ』と言って
歩き出した。



「そんな具合悪いなら
早退する?」



「ううん……大丈夫」



力なく答えながら、胸が痛い。



……瑞樹と並んで
オフィスに戻りながら。



あたしは後ろ暗さに下を
向くばかりで、一度も
瑞樹の顔を見ることが
できなかった……。





     ☆☆☆☆☆



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