ただの仕事仲間のふり
しながらでも、瑞樹は
こんなに優しいのに。



それなのにあたしは課長の
ことで取り乱してばっかり。



なんかどんどん、自分が
情けなくなってくる。



俯いてしまったあたしに、
瑞樹は飲み物を買いながら
極力何気ない声で言った。



「“ゴメン”はもういいけど。

ホントどうしたの?
莉央さんらしくない。

なんか仕事行き詰まった?」



「ううん……そんなのじゃ……」



そんなのじゃない。



だけど……瑞樹には
言えないよ。ホントのこと
なんて……。



「ちょっと気分が悪く
なっただけ。

それで休んでたのよ」



結局あたしは、そう嘘をついた。