《完》オフィスでとびきりの夜を

ついつい声も無愛想に
なりつつそう答えると、
瑞樹は驚いたように目を
丸くして、



「どうしたの莉央さん?

そんな言い方するなんて珍しい」



会社では『さん』付けで
呼ぶのを忘れずに言う
口調が、さらにあたしの
胸を掻きまわした。



(わかってるわよ……
あたしだって)



だけどなんか、瑞樹が
藤倉課長の話をしてるのが
おもしろくないんだもん。


しかも感心してほめる
ようなこと言ってるのが余計に。



……だけどそんなこと、
口に出して瑞樹には言えない。



あたしは取り繕うように
大きな声で言った。



「別に評判に振り回されて
過大評価はしないように
しようって思ってるだけよ」