《完》オフィスでとびきりの夜を

「課長? どうしたんですか?」



沙織さんの声に、頬杖
ついて瑞樹を見てた課長は
ハッと背筋を伸ばした。



そして一拍の間のあと、



「あぁ、ゴメン。

えーと、じゃあ次は奥の
列に行こうか」



少しだけ早口で言って、
別の並びに座るメンバーの
方に顔を向ける。




……課長の指示を受けて、
次のコが立ち上がって
自己紹介を始めた。



だけど――…

あたしはもう、そのコの
声なんて耳に入らなく
なっちゃってた。



――たった今見た藤倉
課長の目が、頭を離れない。



(どうして……あんな目で
瑞樹を……?)