ドサッと机にバッグを
おろしたあたしに、隣の瑞樹は、



「おはようございます、
莉央さん」



会社用の、どこまでも
爽やかな朝の挨拶。



「……おはよ」



再びテンションの低い声で
言って、あたしは仕事の
準備を始めた。



始業まではまだ10分ほどある。



ギリギリまで粘るつもり
らしい女のコ達がまた話し
かけてきて、瑞樹はすぐに
そっちとの会話に戻った。



ニコニコと愛想のいい
笑顔で、みんなと楽し
そうに会話して――…。



(ダ、ダメよ莉央。

こんなことでイライラ
したって仕方ないんだから)



瑞樹が人気あるのは今に
始まったことじゃない。