《完》オフィスでとびきりの夜を

(あの話も――…

完全な、あたしの誤解……?)



――バカみたいだ。



元から不安をいだいてた
から、そんなふうにしか
聞こえなかったのかな――…。



(あたしの心が、曇ってた
だけだったんだ……)



声もなく愕然とする
あたしに、上の方から
また声が降ってきた。



「ってゆーか莉央、この
エピソード知らなかったの?

社内じゃ有名な話らしいじゃん。

課長が来る前には知らな
かったけど、今じゃオレ
でも知ってるのに」



あたしはぎこちなく顔をあげる。



恥ずかしさで顔を隠して
しまいたいのをグッと堪えて、



「知ってたら……こんな
誤解、してないよ……」



マダム・フールをのし
上げた人だとは知ってた
けど、そんな詳しいこと
までは知らなかった。