《完》オフィスでとびきりの夜を

「そう。

マダム・フールの時も
そうだったんだよ。


藤倉課長の後任の宮川さん
って人は、最初はなんの
功績もない平社員だったんだ。

でも課長が彼のマジメな
性格と熱意を見込んで、
どんどん仕事を与えて、
経験を積ませて。

それで今では彼は、後任を
務めるほどの人物に
なったってわけ」



「……………」



……言葉が見つからなかった。



瑞樹の口からスラスラ
出てくる話が、にわかには
ちゃんと頭に入ってこない。



「ターゲットっていうのは
そういう意味だよ、きっと」



そう言うと瑞樹は肩から
手を離し、今度はそれを
あたしの頭の上に置く。