《完》オフィスでとびきりの夜を

「……それで?

今さら聞くまでもない気が
するけど、莉央はここに
何しに来たのかしら?」



声の主は瑞樹の傍を離れ、
ヒールを鳴らしてこっちに
歩いて来る。



「え、あ、あの――…」



答える言葉なんてとうてい
出てこない。



しどろもどろに口をパク
パクさせるだけのあたしを
瑞樹も哀れむような目で見てた。



課長はもう一度ため息をついて、



「……ま、いいけどね。

そういうことだったわけだ。

それならそうと、サッサと
教えといてくれればいいのに」



「え? そ、“そういう
こと”って……?」



何も言ってないのに、
なんでそんな全部
わかってるみたいな……?