「いえ、オレなんて
まだまだですよ。

それに、まだなんの結果も
出てないし」



「ずいぶん謙虚なのね。

……まぁ、この程度じゃ
満足しないってことか。

そういうハングリー精神は
私も好きだけどね」



その声と同時にカタッと
いう物音が響いた。

そして続くカツカツという
ヒールっぽい足音。


……課長が椅子から立ち
上がって、歩いてるのかな……?



「――ねぇ瑞樹。

頑張ったご褒美に、もう
一度してあげようか?」



位置を変えて飛んできた
艶っぽい声に、あたしは
背中を強張らせる。



……ご、ご褒美?



「え? って、課長――…!」