また胸がざわついた。



二人以外の話し声は聞こえない。



ということは今この中で、
瑞樹と課長は二人きり――…。



(どうしよう……)



沙織さんは瑞樹もすぐに
着替えて帰るって言ってた
のに、楽屋の中にまで
入って課長は何してるの?



それに課長がいちゃ、
あたしが中に入っていけない。



「……………」



あたしは困り切った状態で
もれ聞こえる声に耳を
傾け続けた。



やっぱり瑞樹は着替えてる
様子はなく、ただ話し声
だけが小さく聞こえてくる。



「謙遜する必要はないわ。

きっといい写真ができあがる。

大きな仕事をやり遂げたん
だから、もっと堂々としなさい」