「すいません。
それじゃ、あたしはここで。

みんな、気をつけて帰ってね」



言い終わるなり、クルリと
背を向けて今来た道を戻り出す。



(ゴメンね圭輔。
言い訳に使って……)



夕べのことを思うと
申し訳ない気もするけど、
でも、どうしてもこのまま
帰るわけにはいかなかったから。



チラリと振り返ると、
もうみんなの姿もない。



あたしは途中でスタジオに
続く道を外れ、廊下を曲がった。


前に来た時の記憶を
頼りに、控え室のある方に進む。



(早く、瑞樹に会いたい……!)



その思いだけが心を
満たして、あたしの足を
前へ前へと突き動かしてた――。





     ☆☆☆☆☆



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