さっきから手は目の前の
キーボードに添えたまま、
カタカタとタイピングの
真っ最中。

今日中に提出しないと
いけない、急ぎの書類を
作ってた。



隣の席の瑞樹もやってる
ことは同じで、エクセルで
統計表作ってるはず――
なんだけど……。



「はぁ……さみしいな。

せっかく二人きりだって
ゆーのに」



さっきから集中力の“し”
の字も見受けられない
瑞樹は、しらじらしい泣き
まねをして背中を丸めてた。



(もーっ、子供かキミはっ!?)



とうとうあたしはキー
ボードを叩く手を止めて、



「あのねーっ、今は仕事中
でしょ!?

早くしないといつまでも
終わんないよ??

口を動かす暇があったら
手を動かしてよ!」