自虐ぎみに笑うと、圭輔は
しばらく考えてるふう
だったけど、やがて言葉を
探しながら丁寧にこう言った。



「情けなくなんかないよ。

けど、心が見えないのは
当たり前じゃないか。


恋人だろうが家族だろうが
自分とは別の人間なんだ。

ぶつかってかなきゃ、それ
以上の理解なんてできっこ
ないだろ」



「圭輔…………」




―――そうだね。



きっと、圭輔の言う通りだ。



「ぶつからなきゃ、
ダメなんだよね――…」



たとえその先の結果が怖くても。



進まなきゃ、あたしはいつ
までも宙ぶらりんなまま――。



(瑞樹…………)



心の中でその姿を思い出し
名前を呼ぶと、キュッと
胸が痛んだ。