《完》オフィスでとびきりの夜を

「実は今、ケンカしてるん
だけど。

でも、すごく大好きな
カレシが――…」




―――やっぱり、そう。



ケンカしてても、この先
どうなるかわからなくても。



それでもやっぱり、今
あたしが好きなのは瑞樹だけだ。



今の圭輔との時間……この
空間の居心地のよさも、
楽しさも、別に嘘じゃない。



だけどそれは、瑞樹といる
時の幸福感や、切なさと
嬉しさの入り混じった
甘酸っぱい気持ち……


瑞樹を“愛しい”と思う
気持ちとは、やっぱり
まるで違う。



(圭輔は――もう、あたし
には“友達”なんだ……)



大人になったからこそわかる。



昔を懐かしむのはいいこと
だけど――でもそれと、
“今”から目をそむけるの
とは、別のこと。