《完》オフィスでとびきりの夜を

トクトクトクトク。



響く鼓動は、きっと時計の
秒針よりも速い気がした。



(圭輔が……こんなこと、
言うなんて……)



さっきまで友達のように、
思い出話に花を咲かせてたのに。



(そうだよ……。友達……)



あたしはそっと、胸に
手を当てた。

速いリズムで打つ心臓を
包むように。



……ドキドキは、してる。



昔大好きだった元恋人が、
大人になって再び目の前に
現れて。


そしてこんなことを言われ
たら――
そりゃあ、誰だって少しは
ドキドキしちゃうよ。



でも―――…。




「………ゴメン、ね。

カレシは、いるよ」




長い沈黙の後、あたしは
ゆっくりと圭輔に告げた。