《完》オフィスでとびきりの夜を

「なんか悩んでんじゃ
ないかって気はしてた。

だから余計、パッと飲みに
誘いたかったのもあったんだ」



「圭輔…………」



数年ぶりに会って、ほんの
少ししか話もしなかったのに。



あたしが悩んでることに、
気づいてたんだ……。



「なぁに?

昔は夢ばっか語ってる
カメラ小僧だったくせに、
今になってずいぶん優しい
じゃない」



照れ臭さもあってわざと
おどけた口調で言うと、
圭輔もハハッと笑って、



「バーカ。だから昔と
一緒にするなっての。

今はもうガキじゃないんだぜ。

お前も、オレも」



「圭輔―――…」



キラリ、と。



さりげない口調で言う瞳の
奥に、あたしが見たことの
ないような光が揺れた気が
して、ドキリとする。