《完》オフィスでとびきりの夜を

熱い息を吐きながら、少し
だけ頬を朱くした圭輔が
そう言って笑う。



あたしは目をパチパチさせて、



「え? そうなの?」



「あぁ。

無名カメラマンったって、
それなりにギスギスした
世界も見なきゃなんねーから。

こないだ莉央はすごいって
言ってくれたけどさ。

夢叶えたって、楽しいこと
ばっかじゃねーよ」



そう言って見せた表情は
やるせなさをにじませた
大人びたもので、17歳の
日々には見たことのない
顔だった。



それを見て改めて思う。


あたし達は、大人に
なったんだって。



「たしかに、楽しいこと
ばっかりじゃないよね……」



あたしも仕事は大好きだけど。