《完》オフィスでとびきりの夜を

「――逃げないの。

私がキミのこと気に
入ってるの、わかってるん
でしょ……?」



吐息がかかりそうなほどの
至近距離で、妖艶な声が囁いた。



瑞樹は知らないうちに
呼吸を止めていたらしく、
酸素不足で胸が苦しい。



「ちょ、課長――…!」



「じっとしなさい。

明日頑張れるように、私が
気合い入れてあげるから――」



「え? イ、イヤ、
気合いって……」



「私の見込んだ男なん
だから、その気になれば
何でもできるわよ。

瑞樹の度胸を、
私に見せなさい……」



「課長、やめ――…!」



細くて長い腕がかすかな
衣擦れの音をたててスッと
伸ばされ、首筋に触れる。