《完》オフィスでとびきりの夜を

「戻りたくて戻って来た
わけじゃないけどね。

――やっぱりここにいたか……」



「え?」



意味が飲み込めなくて
キョトンとすると、課長は
左手に持っていた携帯を
胸の辺りまで持ち上げ、



「何回もかけたのに、
ちっとも出ないから。

もしかしたらまだ会社に
いるんじゃないかと思って
来てみたのよ」



「え……オ、オレに
電話してたんですか!?」



瑞樹はあわてて携帯を探した。
……が、見当たらない。



(そうだ……
最初は帰ろうと思って
上着のポケットに入れて。

けどやっぱ帰る気しなくて……)



もう一度上着を脱ぎ、
そのままスーツハンガーに
掛けていた――。



「っと…………!」



急いで立ち上がり、掛けた
上着のポケットを探って
携帯を出す。