「だから、よかったねって。

なんなら撮影の日も見に来たら?

そしたらまた会えるでしょ」



まとめるように一息でそう
言うと、瑞樹はまた何事も
なかったように前を向いて
歩き出す。



「瑞樹―――…」



それが………

その言葉が、本当に
あなたの心なの?




――突き放すように言って
向けられた背中を見つめ、
あたしは足を止めた。



瑞樹はあたしが立ち
止まったことにも気づかず
歩いて行き、背中はどん
どんと小さくなる。



「瑞樹―――…!」



つぶやくようにもう一度
名前を呼ぶと、小さな
背中が涙でにじんだ……。




     ☆☆☆☆☆




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