《完》オフィスでとびきりの夜を

圭輔と過ごしてた日々は、
正直もう遠い昔のかすかな
思い出。



だから顔を見るまで、
面影も記憶も心の奥深くに
しまい込まれてて、完全に
忘れてた。



だけどこうして直接言葉を
かわすと、少しずつ遠い
日の思い出がよみがえってくる。


タイムスリップしちゃった
みたいな不思議な感覚が
体を満たしてた。



「――夢を叶えたんだね。

すごいじゃない」



あの頃から、写真が大好き
だった圭輔。



絶対にカメラマンに
なるって、毎日のように
言ってたっけ。



でもそんなふうに大きな
夢を追ってる圭輔と、高校
卒業後の進路を話し合った
時にどうしてもすれ違って――


結局それが原因で、2年の
終わりに別れたんだ。