「オレがどれだけ莉央の
ことを好きか……

莉央ならちゃんと感じて
わかってくれてるって、
思ってたよ」



「み――――!」



とっさに瑞樹の名を
呼ぼうとする。



だけど瑞樹はそれを拒む
ように、顔をそむけたまま
スッと立ち上がった。



「え……待って……!」



出て行こうとしてるんだって。



そう気づいて、あたしは
あわてて手を伸ばす。



でも――その手をスルリと
かわして、瑞樹はあたし
から離れた。



行き場を失った自分の掌が
むなしく空をさ迷う先に、
あたしを見下ろす瑞樹が見える。



「―――――…っ」



瑞樹が何か言おうと一瞬
口を開いた。



だけど、その口から言葉が
紡がれることはなく――。