カッタカッタと靴の音が藍の近くに近づいてくる。

「隣、座っていいかしら。」

背後から誰かに声をかけられて振り向いた。

真っ直ぐで綺麗な瞳に真っ赤な口紅をつけた女。

「他にも空いてますよ。」

と断ったが藍の隣に座った。

甘い香りが仄かにしてくる女は、
「隣の人と同じカクテルを」

渋い顔をしたマスターに女は、言った。

マスターは、かしこまりましたと言ってカクテルを作りだしてる。

マスターが作ってる間に女は、無表情で藍の顔を見ずに話を初めた。

信じられない事を言われるなんて藍は、想像してなかった。