キッチンに背を向けて立っている光樹の姿があった。 あたしの声に反応して、光樹は包丁を使う手を止め、振り替える。 そこにはいつもの光樹がいた。 なんで普通なの? その言葉を呑み込んで、あたしはぱっと目をそらしてしまった。 あっ……。 また誤解されちゃう。 また光樹にちらりと目をやると、甘く微笑んだ。 久しぶりのその表情にあたしの心臓は暴れだした。